大揉め!新国立競技場設計者のザハ・ハディドってどんな人

大揉め!新国立競技場設計者のザハ・ハディドってどんな人

大揉め!新国立競技場設計者のザハ・ハディドってどんな人

※2015年12月15日と22日追記あり

こんにちは、デザイン企画室の塩谷です。

私は南カリフォルニア建築大学などに留学して建築を勉強した生粋の建築出身Webデザイナーなのですが、そんな私が最近毎日注目している話題がこの

「新国立競技場」の大揉め問題です。

実は、国際デザインコンペまで行い決定したデザインにも関わらず、これほどまでに揉めている案件は「新国立競技場」ぐらいなものです。

「日本はプロジェクトを進める能力すらないのか」と世界に評価されかねない事案です。

毎日ニュースに取り立たされ、安倍総理までもが言及するプロジェクトになってしまった「新国立競技場」について、またその設計者ザハ・ハディドについて今回はご紹介したいと思います。

そもそも新国立競技場とは?

そもそも新国立競技場の建て替えは、2012年に行われた建築設計コンペの「新国立競技場 国際デザイン・コンクール」から始まりました。

2019年の設立を目指し、数多くの著名建築家がデザイン案を発表し、比較的注目度の高いコンペだったといえると思います。

最終的に11案まで絞り込み、最終2次審査の結果、ロンドンを拠点に世界的な活躍を見せる建築家ザハ・ハディド氏が見事最優秀賞を獲得しました。

最終11案のデザインは、それぞれどれも独創的でシンボリックで美しい建築です。

新国立競技場コンペー次審査通過作品01 新国立競技場コンペー次審査通過作品02

その中でも、ザハ・ハディド氏の建築デザインが特に優れていて、ランドマークとしての価値が高いという理由のもと、今回選出にいたったとされています。

新国立競技場原案 - ザハ・ハディッド 新国立競技場原案 - ザハ・ハディッド

原案では、高速道路に一部通路が潜っていたり、かなり巨大で、素人の僕なんかはこれが本当に建てばカッコイイなぁと当時は考えていました。

設計が本格的に進むに連れ、当然ながら高速道路に通路を突っ込むことなど出来ず、また建築物が巨大すぎることなどから縮小案が提案されました。

この縮小案こそが、現在ニュース等で良く使われている画像です。

新国際競技場縮小案

見た目としてはかなりションボリした印象になっています。

建築物が公共物と融合することで見られた躍動的でスポーツカーのような形態はなくなり、いわゆるドームというイメージが強い丸い物体になってしまいました。

ここまで縮小されてしまうと、この案で行く必要はあるのかと、疑問の声が出てきてもおかしくありません。

さらには、この縮小案を実際に建築するのに3,000億の建設費がいるというのです。では、原案では一体いくらの建設費を考えていたのでしょうか?

新国立競技場はなぜ揉める?

新国立競技場設計を巡っては、大きく「予算が馬鹿高い」「技術的な問題」「巨大すぎる」の3点が問題となっています。

予算オーバーという部分が連日ニュースで取り上げられていますが、実は建築界では日常茶飯事の出来事です。むしろ公共事業で建築家が関わり予算内に収まる方が珍しいです。

このような業界の「当たり前」が今回の事象を生んでしまったと言えるでしょう。

新国立競技場デザイン案を決定する中で、審査員達は予算を二の次・三の次にしていたと言わざるを得ません。

なぜなら、建築家であればザハ・ハディド氏の原案を見た瞬間にこれが大体どの程度の予算が必要になるか等ということは想定できるからです。ましてや高速道路に突っ込んでいるデザインが明確に確認できます。

これが安く出来るとは誰も思わないでしょう。

さらには技術的な問題もしばしば取り立たされています。

キールアーチと呼ばれる部材を2本使用し、ザハ・ハディド氏設計の新国立競技場は、巨大アーチ構造を採用しています。

この巨大アーチ、専門的にキーの巨大建築を支えてしまう、過去にもほとんど例のない手法を用いる必要があります。

このキールアーチはなんとビル1つ分程度のサイズと言われています。

過去に前例がない分、工期などの見通しが立てにくく、どのようにして建てていくのかの検討にもまた、時間と費用がかかってしまうのです。

ならば、このアーチ構造を変更してしまえばいいのでは?と感じるかもしれませんが、このデザインは「巨大アーチ構造」を大前提として設計されています。

大前提が崩されてしまうと、全くの一から設計をやり直さなければならないのです。

そして、「巨大すぎる」という批判もチラホラ見受けられます。

景観を崩してしまうのではないか、デカすぎるから建設費が高くなるのでは?などなど現在の日本の資本力には不相応であるといった批判が上がっています。

景観問題に関しては、他の10の案でかなり景観に溶け込むようなデザイン案がある中でザハ・ハディド氏の建築を採用したところからも、審査員側が全く重視していなかったと言えるでしょう。

僕個人としては、2位のSANAA+日建設計案3位のドレルゴットメ・タネ/アーシテクト&アー+アーシテクチゥール、7位のゲーエムペー・インターナツィオナル・ゲーエムベーハーの作品の方がよっぽどランドマーク的で優れていて景観にも配慮された良案だと思うのですが。

縮小案を提出した中で、周辺環境からの景観にも配慮され建築物の高さも5m程低く変更されていますが、「巨大すぎる」といった批判も結局は「予算オーバー」「技術的な問題」に通じています。

5m低くしたとしても、結局3,000億円の建設費が必要になるならば、意味がない変更なのです。

これまでは、公になって国民が建設を批判する建築物というものがなく(実は建築物を建てる際はとんでもなく揉めて裁判につぐ裁判ばかりです。)、今回ようやく日本の建築業界の灰汁が注目されているという印象です。

このように大揉めの渦中にあるザハ・ハディド氏とは一体どんな人物なのでしょうか?

新国立競技場設計者ザハ・ハディド氏とは?

ザハ・ハディド氏はイラン出身で、ロンドンに事務所を構える世界有数の建築家です。

元々は、建てない建築家もしくは建たない建築家と言われていました。

脱構築主義(デコンストラクション)を提唱し、建築家というよりも建築思想の提唱者としての立ち位置が強かったと思います。

ザハ・ハディドの設計はかなり過激で、一般の人からすれば建つはずもないと思うようなデザインばかりです。

時代と共に技術が進歩し、ザハ・ハディドのような過激な設計でも実現可能となるにつれて、ザハ・ハディドは建築思想の提唱者から一気に世界的な建築家へと評価されていき、2004年には建築界のノーベル賞と言われているプリツカー賞を受賞し、名実ともに世界的な建築家へと駆け上がりました。

有機的で曲線を多用したデザインや、脱構築主義(デコンストラクション)特有の直線的かつエッジの効いたデザインを得意とし、どの作品もコンセプチャルで素晴らしい建築ばかりです。

間違えてはいけない点として、問題の渦中にあるザハ・ハディド氏には一切の責任も問題点もありません。

ザハ・ハディドアーキテクツは、要求された項目を自分達のデザインでもって発表し、それが最優秀賞として評価されたというだけで、このデザインを選んだのは紛れも無く日本側。強いて言えばSCを所管する文科省の最高責任者である下村文科相、事業主体であるJSCの河野一郎理事長、審査委員長を務めた安藤忠雄氏、そして森元総理なのです。

ザハ・ハディド氏もこの日本側の大揉め騒動について「日本人の方々が、この問題において建築デザインに問題あると誤解しないでほしい」と語っています。

世界的な建築家を渦中にして起こってしまったため、世界に対して完全に日本の無駄遣い気質、日本建築業界の灰汁が露呈してしまった新国立競技場設計問題、今後どのように進めていくことで、世界への信頼回復へと繋がるのでしょうか?

新国立競技場に関する結論

結果として、現在の新国立競技場設計に関する様々な問題は、コンペ審査員側にあるだろうと感じます。特に審査員長であった安藤忠雄氏の責任は免れないと思います。

安藤忠雄氏は、このザハ・ハディド案を強く推薦した張本人であり、現在問題視されている「予算オーバー」「技術的な問題」「巨大すぎる」といった部分を選定の際に見抜けたかった「揉める原因」を作ってしまっています。

僕個人としては、新国立競技場はこの案のままザハ・ハディド氏設計のもと進んで欲しいですが、今後、設計見直しとなりどのような方向に進むのか全てはまず安藤忠雄氏の発言が気になるところです。、新規で2案の公募まで絞られました!

どのような決着になるにせよ、もうまっさらに整地してまった国立競技場跡地は後戻りができません。

どうかあやふやなまま問題を解決せずに、予算都合だけを考えた「ただの箱」だけは作らないでほしいです。

新国立は隈研吾VS伊東豊雄の戦いに

2015年12月15日の追記です。
上記で、ただの箱だけは作ってほしくないと語らせてもらっていましたが、やはり、「ただの箱」が出来上がりそうです。

非常に閉鎖的な公募により最終2案まで絞られた、新国立競技場問題。

最終案に選ばれているのが、建築家「隈研吾」氏+大手ゼネコン(大成建設)による案、もう一つが建築家「伊東豊雄」氏+大手ゼネコン(竹中工務店・清水建設・大林組)による案。

両方の案も同じタイトルで「社のスタジアム」です。

条件は総工費1500億に抑えること。
全く公開されない非常に閉鎖的な審査やコンペで、批判が集中していますが、僕はデザインも最悪だと思っています。

隈研吾の提案

隈研吾の提案「新国立競技場」

隈研吾氏の建築はファサードだけで中身は全く面白くないというのが僕が感じている特徴で、そのような建築家がこのスケールの建築物を設計できるとは思えないですね。

ザハ・ハディド氏のデザインの方が絶対長期目線で考えても有効ですね。

この案だと1490億円で建築できるのだとか。1500億以内で建設できるからという世論を納得させるためだけのコスト削減は、目先のコスト削減だけで結局長期目線で見た時にこの建築物が新たな金を生むとは到底思えません。

ザハの建築は、長期的に価値のある建築になるだろうと感じたのですが……残念すぎます。

伊東豊雄の提案

伊東豊雄の提案「新国立競技場」

こちらの提案は1497億円で建築可能とのこと。
盃をイメージした形をしているそうですが、こんな競技場いらない。

正直まだ隈研吾氏の案の方が木造と鉄骨のメガストラクチャーがかっこいい分マシというもの。

筆者はこうなる現実が嫌だったのですが。
ザハ見たかったな……

新国立競技場コンペの最終決定案とは?

2015年12月22日、遂に新国立競技場の最終案が決定いたしました。

結果は隈研吾氏設計のA案でした
新国立競技場最終決定案

木と緑のスタジアムというコンセプトでデザインされていて、日本の伝統建築に用いられる「垂木」を連想するひさしが特徴です。

市民の意見でもA案が6割を占めるなど、A案の支持がいずれも高かったようです。
完成予定は、2019年11月。

残念ながらザハのかっこいい競技場は見られなくなりましたが、隈研吾氏の新国立に期待しましょう!

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