デザイナーを目指す人へ~建築家からWebデザイナーに転身した僕が思うデザイナーという仕事
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こんにちは、チーフデザイナーの塩谷です。
今回は、これからデザイナーを目指す人や既にWebデザイナーを目指して勉強されている方に向けて、「建築家」という職業からWebデザイナーへ転身した奇妙な経歴を持つ僕だからこそ思う、「デザイナー」という仕事について紹介したいと思います。
Webデザイナーとは?
この記事を偶然にも読んで頂いている皆さんは、おそらく「デザイン」という行為に何かしら興味がある方なのだろうと思います。
そんな皆さんは、デザイナーとはどういう仕事だと思いますか?
僕は相手の理想や思い描くことを実際に実現し、さらにその先を見据えて提案する仕事をデザイナーと呼ぶのだと思います。
これは、ファッションデザイナーであれ、グラフィックデザイナーであれ、インテリアデザイナーであれWebデザイナーであれデザイナーと名の付く職業全体に言えることです。
まるで魔法使いのような職業に感じるかもしれませんが、それを実現できる人こそデザイナーなのです。
建築家という職業を経験して思うこと
写真は、左上からル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、アルヴァ・アアルト、ルイス・カーン、丹下健三
僕のように意匠建築と呼ばれる建築デザイナーを経験した人はご存知かと思いますが、建築家という職業は、非常に論理的な思考を大事にするお仕事です。
なぜなら、建物を建てるということはお金の面でも時間の面でも関わる人間の数でも到底簡単なものではないので、どんな些細なことでさえも説明できる意味を持たせる必要があるからです。
クライアントの方は莫大な費用をかけて建築するわけですし、あらゆる作業の方が現場を出入りし施工されるわけですから、何ひとつとして曖昧なものがあってはならないのです。
参照元:Archdaily
藤本壮介(Sou Fujimoto)という著名建築家の作品を例に取ってみると、彼の「HOUSE N」という作品はまるでロシアのマトリョーシカのような構造をしています。
何の説明もなしにこのデザインを提出すれば、クライアントの方は「何を出しているんだ!」と怒りだすでしょう。
しかし、このマトリョーシカ構造が空間配置に多大な影響を与えていることに気づくと、一気にデザインの意味が見えてくるのです。
参照元:Archdaily
マトリョーシカ構造は当然内側になればなるほど外側からの視線も無く、密室な空間になります。反対に、外側はほとんど外同然のような、でも内部のような不思議な空間を作り出しています。
この特性を活かして、外側から段々とプライベートな空間へと変わっていくプランニングと、大きくも可能な限り視線を計算した窓配置に、デザイン性の高さを感じざるを得ないのです。
このように建築をデザインすることは、建築家の趣味嗜好ではなく、いかにクライアントの思い描く理想を「自分」というフィルターを通して表現するかなのです。
Webデザイナーという職業も似ていると思いませんか?
クライアントの方がいて、自分でデザインしたものを説明し納品する。
「ここは何でこういうレイアウトなの?」
「ここのデザインは何でこうなってるの?」
このような言葉は当たり前のように飛んでくる質問です。
こんな時にしっかりと説明できないと、クライアントの方は納得できません。
デザイナーという仕事は一見すると、とても感覚的で発想力がものを言う――いわゆるセンスが大事な仕事であると思いがちですが、実は違うのです。
建築家と同じように、デザイナーという職業もあらゆる部分について論理的に説明する必要があります。
このようにデザインに意味を持たせることを「コンセプトメイク」といいます。
コンセプトメイクが出来ないと、どうしても一人よがりの作品が出来上がってしまうのです。
でも考えることは苦手です。そんな私はデザイナーになれませんか?
大丈夫!と言い切れると思います。
コンセプトメイクなんてかっこいいカタカナで書きましたが、結局はどうやって問題提起されたものを解決するかが大事です。
例えばクライアントさんは、「いつも営業で名刺を沢山きるのに何故か覚えてもらえない・仕事が取れない、だからオシャレなデザインの名刺作ってくれないかな」と依頼してきたとします。
この場合、解決すべき問題となるのは、「現在ありふれた名刺デザインを使っている」ということになるでしょう。
ここで間違えてはいけないのは、だから「オシャレな目立つデザインにしよう」と安易に進んでしまうことです。
ここでデザインの方向性を決めてしまうと、自分のセンスや趣味嗜好が全面に出てしまいますね。
もう一度立ち返って、例えばどんな仕事をしているのかに着目してみましょう。
彼はあらゆる企業に観葉植物をリースする会社の営業マンだとします。
そうなると、営業先は絞れません。手当たり次第営業したいでしょう。
ある程度万人受けする名刺デザインが良さそうです。
さらに彼の勤める会社は「観葉植物」を扱っていますね、これはデザインに使えそうです。
参照元:Designbuzz
ここまで考えると、葉っぱやグリーンを使ったデザインにしようと決まってきますね。
僕の場合は、名刺用紙の中に植物の種を一緒に入れて、名刺の一部から自分の会社で取り扱う珍しい草が生えてくるのはどうかという突拍子もないアイデアも考えつきます。
そうすれば、当然問題提起となっていた「ありふれた」部分は全くありませんし、自分の企業のアピールにもなります。
それに営業先に、名刺をきった時に必ずこの話をネタにすることが出来ますよね。
そうすることで、クライアントの方はきっと覚えてもらいやすくなり、仕事が取りやすくなるでしょう。
あくまでレイアウトをシンプルにまとめることで、万人受けもしてもらえそうです。
問題提起とそれに関連するクライアントの情報を集めることで、意味のあるデザインが出来ました。
これが「コンセプトメイク」です。
考えるというよりはパズルに近いです。
どうでしょう?これなら出来そうではないでしょうか?
「神は細部に宿る」とは巨匠建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉です。
細部にこだわることこそ、美しいデザインを生むことを教える言葉ですが、細部の細部までこだわり意味のあるデザインにすることで、クライアントの方にも喜ばれ、そのデザインが評判を生み、結果として次の仕事につながっていく、そういうサイクルを作ることができるのです。
これからデザイナーを目指す方に向けて、建築家からWebデザイナーに転身した僕だからこそ思うデザイナーという仕事について、短いですが書かせて頂きました。
是非これからデザイナーになる方は「コンセプトメイク」の重要性を頭に入れて現場で活躍してほしいと思います。
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